犬種の中でも人気で、ぬいぐるみのような愛くるしい姿のポメラニアン。
今回はそんなポメラニアンについてご紹介していきたいと思います。
【目次】
1.ポメラニアンの特徴
♦︎歴史
ポメラニアンは、ドイツとポーランドの国境にまたがるポメラニア地方に土着していた、ジャーマン・スピッツやサモエドが元祖とされています。
当時はまだ中型犬以上のサイズで、毛色はほとんどが白色だったそうです。
その後、18世紀になってイギリス国内に持ち込まれ、ヨーロッパの王族・貴族に愛好されて飼われるようになりました。当時のポメラニアンは体重10kg程度とも伝えられており、小型犬としてはまだまだ大きなサイズだったようです。
19世紀後半、愛犬家で知られたイギリスのビクトリア女王もポメラニアンを大変可愛がっていました。自身の死の床にまで最愛のポメラニアンを呼び寄せて、息を引き取ったと伝えられています。ビクトリア女王は、愛するポメラニアンをドッグショーに出展し、自ら繁殖も手掛け、中型サイズだったポメラニアンを、5kg程度まで小さく作り上げました。イギリスに持ち込まれて小型化される前のポメラニアンは、ホワイトとブラックのみの毛色でしたが、ビクトリア女王の犬舎にはレッドの毛色が存在したそうです。
これによりポメラニアンの魅力が世界的に知られ、人気の高まりと共に小型化が進み、毛色のバリエーションが増えることになりました。
1892年にアメリカでポメラニアンが品種として確立し、国際畜犬連盟に登録されましたが、1900年まではどのグループに属するか公式に分類されていませんでした。
しかし、そり犬など使役犬として働くジャーマン・スピッツを祖先とすることや、繊細な性格から番犬の役割を果たすこともあり、改めてスピッツのグループ(第5グループ)に分類されました。
♦︎性格
- ポメラニアンは陽気で友好的な性格です。
- 人のことが大好きで、ほかの犬にもフレンドリーに接します。
- 好奇心が強く、活発で良く動き、遊びも大好きです。
中には、そり犬として活躍していた先祖の気質を引き継いだ、気の強い子もときどきいます。 - プライドが高いところもありますが、飼い主には従順です
- 小さな体ですが勇気があり、有能な番犬の素質もあります。
一方で、ポメラニアンは少し繊細な面があるので、人間に過度に依存したり、吠えたりもします。
♦︎身体的特徴
〈身体〉
ポメラニアンの身体的な特徴として、短い鼻筋、三角形の小さい耳とビー玉のような丸く大きな瞳が挙げられます。
また、尻尾の付け根は高く背の中央にあり、全体的にずんぐりと丸い体型をしています。
頭部は丸みを帯び、特徴的な鼻先を持ちます。
またポメラニアンの骨は「ペーパーボーン」と呼ばれるほど細いので、骨折などのケガに気をつけましょう。
〈顔〉
ポメラニアンには、2種類のタイプがいることをご存知でしょうか。
ポメラニアンの顔は大きく分けて【キツネ顔】と【タヌキ顔】の2種類があります。
・マズルが長く、シャープな印象があるため、横顔を見るとすぐに分かるのが「キツネ顔」のポメラニアンです。たぬき顔のポメラニアンに比べると、体つきも大きめの傾向があります。
・丸顔の「たぬき顔」をしたポメラニアンは、短い鼻が大きな特徴で、体の大きさや耳の大きさも小ぶりな傾向にあります。
この違いを知らないと「想像していたポメラニアンと違う?」と思うかもしれません。
どちらも異なる魅力がありますが、自分はどっちの顔が好みなのか、迎える前に把握しておくといいでしょう。
♦︎サイズ
ポメラニアンの体高は、およそ18cm〜25cmほどで、体重は1.4kg〜2.5kgほどです。ボリュームのある毛とシルエットでモコモコに見えますが、ほかの小型犬同様に骨格は細いです。
もともとは中型犬であったため、小型犬としてはサイズがやや大きくなることもあります。
ポメラニアンの中にはティーカップに収まるほどの小さな犬種もあります。
ティーカッププードルと似たように「ティーカップポメラニアン」または「極小ポメラニアン」などの愛称があります。体重は2kg未満で身長は20cmほどの可愛らしいサイズです。
- 体重 オス:2~3kg メス:1~2kg
- 体高 オス:20~25cm メス:20~25cm
2.被毛について
ポメラニアンは、胸から肩にかけてと尻尾にある長くふわふわの飾り毛が特長的で、他の犬種に比べデリケートな毛質です。
ポメラニアンの毛はダブルコートといい、剛毛な上毛であるオーバーコートと、柔らかい下毛のアンダーコートに分かれています。
犬は人間と違い汗腺が存在しないので、毛によって体温調整をします。
その役割を担っているのが、アンダーコートです。
オーバーコートは紫外線などから肌を守ってくれます。
年間を通して抜け毛の多い犬種で、年に2回換毛期があり、その時期は抜け毛が特に増えます。
●毛色
ポメラニアンの毛色は、イヌの品種の認定および犬種標準の指定などを行うJKC(一般社会法人ジャパンケネルクラブ)が認めているだけで10種類に及びます。規定外のものを含めると、実に20種類以上の毛色があるといわれています。
毛色については、ホワイト、ブラック、ブラウン、オレンジ、グレーなどがあります。
メジャーなカラーははオレンジですが、最近ではホワイトも人気です。
ブラックベースで顔周り、眉、足先など部分的に色が異なる「タン」や、毛の先にかけて色がグラデーションになっている「セーブル」という色などもあります。
カラーがコンビネーションで混ざっている場合もあり、毛色のバリエーションがとても豊富な犬種です。
なお、日本でポメラニアンが大流行した頃に、一番人気があった色はクリーム系でした。
ホワイト系のポメラニアンを購入したが、成長するにつれてクリーム色に変化した、といった個体も多く存在するのです。
ほとんどのポメラニアンは、子犬から成犬になるにつれて毛色が変化します。子犬の時期と成犬の時期で、全く毛色が変わらないことは滅多にないといえるでしょう。
また、ポメラニアンの毛色の変化は1度だけではなく、少なくとも3回、多ければ7回以上も色変わりをします。
子犬のポメラニンを飼う場合、将来どのように毛色が変わっていくかは判断が難しいでしょう。そのため、「成犬になったら好みの毛色ではなくなった」ということもあるかもしれません。
ポメラニアンを飼うなら毛色の変化も個性だと捉えて、ポジティブに向き合ってあげるようにしましょう
3.カットについて
個体差はありますが、ポメラニアンのカットは月に1回程度行うのがよいでしょう。
基本的にポメラニアンは一定の毛の長さまでしか伸びないので、基本的にはトリミングをする必要のない犬種です。
しかしカットは必要ではないとは言っても長毛であることからカットを楽しむ飼い主さんも増えてきました。
ポメラニアンの魅力の1つが、様々な見た目を楽しめるカットスタイルの豊富さです。他の犬種と比べてもカットの種類は多く、同じ犬種でありながら、全く違った外見にすることができます。
そこでポメラニアンの人気のカットをご紹介致します
●柴カット
ポメラニアンのカットの中でも、スタンダードカットとして人気のある「柴犬カット」。
耳は三角、顔は丸く、首回りや体はすっきりと短めにカットしたカットは、柴犬のような印象を与えてくれます。立ち耳や大きな目が強調され、ポメラニアンの可愛らしさが引き立つ人気のカットです。
柴犬カットをすることにより、全体のフォルムが丸っこく仕上がるので、可愛らしさも倍増です。
毛の長さは6mmにカットするのが最適とされており、しっぽの部分はふんわりとドーナツのような形にするのが特徴となっています。
●たぬきカット
「たぬきカット」は、柴犬カットよりも長めに毛を残し、全体的に丸みをもたせることでぬいぐるみのような仕上がりになるヘアカットです。
柴犬カットとは違い、全身の毛を整えるので、ポメラニアン特有の丸みや柔らかい雰囲気が活かされます。
また、適度なふわふわ感が残っており、見方によっては、たぬきのように見えるといった特徴があります。
耳も顔も体も、全体的に丸くふんわりと仕上げたたぬきカットは、ポメラニアンの持ち味であるモフモフ感も残した愛らしいカットです。
●ライオンカット
顔周りに被毛を長めに残す「ライオンカット」は、ポメラニアンならではの毛量を活かした人気のカットスタイルです。
体の毛は短めにカットしますが、頭から胸元にたてがみのような毛としっぽの先に毛を残すとライオンのような印象にmなります
普段のカットスタイルに飽きた飼い主さんにはおすすめです。
●サマーカット
全身を短くカットするサマーカットは、夏の定番とも言えるカットの1つです。汚れやすいお尻周りや胸元もすっきりさっぱりさせているので、お手入れしやすいというメリットも!
●部分カット
できれば全身のカットを避けたい飼い主さんには、ポメラニアンの毛を部分カットをする方法がおすすめです。こういった、お尻などの汚れやすい部分だけを短くカットするスタイルを「桃尻カット」と言い、歩いたときにふりふりするお尻の表情が魅力です。
4.おうちでのお手入れ
犬を飼い始めたらやらなくてはいけないお手入れがあります。歯磨きは毎日しなくてはならず、耳掃除や爪切りも大切なケアです。
そのなかで、ブラッシングはポメラニアンの見た目のかわいらしさを保つだけではなく、ケガや皮膚病の有無をチェックし、血行を促進する大切なケア。コミュニケーションのためにも毎日行いましょう。
ポメラニアンは毛並みにボリュームがあるので、スリッカーブラシかピンブラシ、その他にコームを用意しましょう。絡まっているところをスリッカーブラシかピンブラシでほぐし、全身をブラッシングしてからコームで整えます。
犬のブラッシング用のスプレーやローションを使いながら行うと、被毛のつやがよくなり、ブラシのとおりもいいですよ。ポメラニアンのよく動く箇所、こすれ合う箇所は毛玉ができやすいので、わきの下や内もも、首、耳の後ろなどは念入りにチェックしましょう。
普段からポメラニアンは抜け毛が多めの犬ですが、春と秋は1カ月くらい抜け毛がさらに増える換毛期があります。抜けた毛を取り去らずに放置すると湿気や熱気がこもって不調につながるため、換毛期は特にしっかりブラッシングしてください。
5.最後に
小さくて可愛い見た目からは想像がつかないほど、活発な性格をしています。
家族としてともに長く楽しく過ごせるよう、コミュニケーションの時間をたっぷり確保しましょう。