ペットを飼うなら欠かせない爪切りケアですが、愛犬が爪切りを嫌がり上手く切る事が出来ないと悩んでいる方、「自分で切るのは怖い」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回はそのワンちゃんの爪切りについてお伝えしていきたいと思います。
【目次】
1.爪切りはどうして必要?
犬の爪は人間と同じで何もしなければどんどん伸びていくため、こまめにチェックし伸びていれば切ってあげる必要があります。
野生で暮らしていれば、膨大な時間をかけてさまざまな地形を歩いたり、穴を掘ったりするため、犬の爪はその摩擦で削れ、適正な長さに保つことができます。
しかし人と暮らす犬の場合は主に屋内で暮らしているため運動量が少なく、放っておくとどんどん爪が伸びてしまうのです。
お散歩していたら爪は自然に削れていきますが、全ての爪が均等に削れるわけではありません。
加えて、地面に接していない5本目の爪「狼爪(ろうそう)」は普段の生活で削れることがないので、切ってあげる必要があります。
※狼爪:いわゆる「犬の親指」で、狼であったときの名残であると言われています。生まれた直後に切除されていることもあれば、狼爪が2本ある犬種もいます。
「うちの犬はよく散歩に行っているから大丈夫」と思わずに、定期的に爪のチェックをしてあげてください。
その他、体重や歩き方などによっても個体差がありますので、爪が摩耗するペースや爪きりの頻度は、それぞれ犬によって異なります。
毎日、犬の爪がどんな状態になっているのか皮膚や肛門、目や耳と同じようにしっかり観察して、状態を把握しておくことが重要です。
2.爪を切らないと起こるトラブル
●体重を支えられない
爪が伸びすぎると、滑り止めの役割をしているパッド(肉球)が地面にしっかり接地できなくなり、指でバランスを取りづらくなります。
そのため足に適切な体重をかけることができず歩行や走行がしづらくなり、関節や足腰を痛めやすくなります。
●血管や神経が伸びる
犬の爪切りをしないでいると、爪の血管も伸びます。血管が伸びてしまった後、爪を短く切ろうとしても、血管の手前までしか切ることができず、安全な長さまで切ることができなくなってしまう可能性があります。
伸びすぎた爪を元の長さに切るということは伸びた血管と神経も一緒に切るということになります。
大変な痛みや出血を伴う荒治療が必要となり、元の爪の長さに戻すのはそう簡単なことではありません。
●ケガをする
爪は内側に向かって円を描くように伸びるため徐々に巻いていきそのまま肉球に突き刺さってしまいます。
また伸びた爪が引っかかり根元から折れてしまうこともあります。
そして肉球に刺さる、爪が折れるなど愛犬が痛い思いをするだけでなく、愛犬に足を踏まれたときに爪が刺さったり、飛びついてきたときに擦り傷ができたりと、飼い主もケガをする可能性があります。
トラブルが起こる前の定期的な爪切りはとても大切になります。
3.爪切りのペースとタイミング
犬の爪切りをする頻度は月1~2回程度ですが、愛犬の生活スタイルによって変わります。
よく外にお散歩に行く犬は、土や石ころを足全体で踏みしめて歩くので爪が勝手にすり減るので、月1回のお手入れが目安です。
室内で過ごす時間が多い犬は、床が平らで爪が削れにくいので、月2回を目安に爪切りをしてあげるといいでしょう。
月1~2回程度の爪切りが基本といっても、中には爪の伸びる速度が早い子も遅い子もいます。
タイミングの見極めとしたら…
・歩くと爪が床にあたってカシャカシャ鳴る
・爪が長くて歩きにくそうにしている
・爪が絨毯に引っかかる
・爪が肉球に食い込みそうになっている
・愛犬の歩き方が変わった
・折れた爪が床に落ちていた
このようなことが見られたら爪を切ってあげましょう。
ボディチェックの一貫として毎日爪の伸び具合を確認するのもおすすめです。
4.爪切りのやり方
爪切りが難しいと感じている飼い主さんの中には、道具選びや使い方を間違えていることが多いようです。また、つい無理をして爪切りが嫌いにしてしまうことがありますので、まずは根気良く少しずつ慣らしてあげることが大切でしょう。やり方がわかれば自宅での爪切りも難しくないはずです。
①まずは犬専用の爪切りアイテムを準備
- 犬専用の爪切り
- やすり
- 止血剤
愛犬の爪切りには、犬専用のものを使いましょう。
犬の爪は硬いので人間用の爪切りやハサミでは上手く切れず、爪が折れたり割れたりしてしまうおそれがあります。
爪切りにはハサミタイプやニッパータイプ、ギロチンタイプなどがありますが、おすすめは軽い力で切れる「ギロチンタイプ」のものです。
やすりは爪切りの後にかけると切り口が滑らかになり、飼い主の服や絨毯に引っかかりにくくなります。人間用の爪やすりを使用しても問題ありません。
また、小型犬など爪が小さく柔らかい愛犬の場合は、爪切りを使わず、伸びた部分をやすりで削るだけでも十分です。
万が一、爪切りで血管を切ってしまい出血しても、ティッシュや布などで押さえると血が止まるケースがほとんどですが、出血が止まらない場合に備えて、止血剤を準備しておくと良いでしょう
②犬を立たせて保定をする
すべてのケアに言えることではありますが、特に爪切りや被毛のカットなど刃物を使う場合は、愛犬を正しく「保定」すること(固定すること)がとても大切です。
※保定とは、愛犬が怪我をしないよう出来るだけ動かないよう、暴れないように安定した状態になる抱き方のことです
爪切りをするときは愛犬を立たせて、犬と反対方向を向きながら脇で胴体をしっかりと挟みます。
こうすると身体が安定して爪が切りやすくなるだけでなく、爪を切っている様子を愛犬に見えなくすることで恐怖心を和らげる効果があり、怖がって暴れたり逃げ出したりするのを防ぐことができます。
③肉球を押して爪を切る
まず、愛犬の足を持ち、肉球のある側を上に向けます。
犬の爪は毛に埋もれている場合があるので、肉球を押し、爪をしっかりとだして神経の走っていない先端のみをカットします。
爪切りをする際のポイントは、爪の根元に対して水平になるようにして、爪切りを使うこと。
斜めにしたり、垂直になったりしてしまうと上手く切れず、血管を傷つけてしまうおそれがあります。
白い爪の場合は、透かして見ると血管の位置がわかるので、確認してから切るようにしましょう。
黒い爪は見えにくいので、先端から少しずつ切っていき、断面が透明っぽい色に変わってきたらストップしましょう。
慣れないうちは最初だけ爪切りで切り、少しずつやすりで削っていくのもおすすめです。
爪の中には神経が通っている血管があり、誤って切ってしまうと犬は痛みを感じます。これも爪切りが嫌いになる大きな原因です。
血管まで切らないよう少しずつ小さく角を落とすようにカットするのがコツです。
〈はじめて爪切りを行う場合〉
はいきなり切り始めるのではなく、愛犬が落ち着くまであせらずに待ちましょう。
あらかじめ爪切り道具の匂いを嗅がせておくのも良いことです。
見たこともないものが近づくと興奮したり緊張したりと落ち着きがなくなってしまうからです。
愛犬が落ち着いたら、初日は1本だけ切っておわりにします。
場合によっては爪切りを当てるだけで終わらせたほうが良い場合もあるでしょう。
④切った爪をやすりで丸く整える
爪切りをした後は、断面をやすりで軽く削り角を丸く整えていきます。
表面のザラつきや鋭い角が残っていると愛犬が体を掻いたときなどに皮膚を傷つけてしまう可能性があり、飼い主も引っかかれたりとケガをしてしまうかもしてないので、しっかりとやすりをかけることが大切です。
⑤終わったあとは愛犬をたくさん褒める!
爪切りが終わった後は「えらいね!よく頑張ったね」とたくさん褒めてあげます。
ご褒美のおやつをあげてもいいでしょう。
爪切りをすると良いことが起きる、と認識してもらえるので、次の爪切りも楽になります。
爪を1本切るごとにご褒美をあげても構いません。
○爪切りを成功させる秘訣
一気にやろうと思わないことです。
嫌がる前にやめる、強要しないのが成功への1番の秘訣です。
嫌がって暴れだす前に休憩を挟み、少しずつ進めてください。
そして、爪切りが終わった後は頑張ったご褒美に大好物のおやつや遊びを忘れないようにしましょう。
緊張している場合は、ペースト状のものや、柔らかく喉通りの良いものがおすすめです。
コングやヨーグルトなどの空容器に塗り付けて、舐めてもらいながら進めるのもOKです。
5.お家での爪切りが難しい場合
自宅での爪切りが難しい場合は、グルーミング(トリミング)サロンや動物病院でプロに爪切りを依頼するのがおすすめです。
愛犬の爪を切りすぎてしまって、血が出たらどうしよう…と不安な飼い主さんもいるのでは?
また、爪を切ってあげたいけれど、ワンちゃんが爪切りをどうしても嫌がってできないという場合もあるでしょう。
しかし、爪切りをしないわけにはいきませんよね。
そういった場合は無理をせず、動物病院やトリミングサロンのプロの方に爪切りをお願いしましょう。
トリマーや獣医は犬の爪切りに慣れているため、神経を傷つける心配も少なく、愛犬も落ち着いて爪を切ってもらえるでしょう。
爪を切ってもらっている様子を見ることで、自分で爪切りを行うときの参考にもなります。
サロンやペットショップ、動物病院でも爪切り単体での利用が可能な場合がほとんどです。
「爪切りだけで行くなんて…」と思わずに、ぜひ足を運んでみてください。
爪切りのみをお願いした場合にかかる時間はスムーズに切らせてくれる子であれば5〜15分程度と、お店の中で待っていられる程の時間で終わります。
費用はお店によって変わってきますが、爪切りのみだと500円〜1,500円程度が相場でしょう。
大型犬と中型犬、小型犬でサイズによって金額が異なるケースも見られます。
そのため、予約を取る際など事前に確認してから行くと良いでしょう。
無理をして失敗してしまうと、愛犬が爪切りをさせてくれなくなるばかりではなく、 飼い主さんとの信頼関係を損なってしまう原因にもなります。
愛犬が嫌がって暴れる場合には無理をせず、プロに依頼してみてはいかがでしょうか?
6.最後に
大切なことは、無理をしないこと。そして、愛犬に嫌な思いをさせないこと。
何よりも飼い主さんとの信頼関係を損なわないこと。
まず日頃のスキンシップによる愛犬との信頼関係を築きつつ、足をさわられる、爪を切られることに少しずつ慣れさせることを優先しましょう。
大切なことは、「誰が切るか」ではなく、適切な頻度で爪をカットして、愛犬にとって丁度いい長さに保ち、ケガや足腰の負担などを予防することです。
ご自身でカットする場合でも、プロに任せる場合でも愛犬の爪の状態は小まめにチェックし、適切な爪切りケアで愛犬の健康を守ってあげましょう。