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犬のおしり歩きの原因と対処法

皆さんは飼っているワンちゃんがおしりをこすりつけて歩いている姿(通称:おしり歩き)を目にしたことはありませんか?
一見可愛く見えてしまいますが実は肛門周辺に異常がある可能性があります。

今回はそんなおしり歩きの原因や対処法についてお話していこうと思います。

 

〇肛門腺とは

まずはおしり歩きに深く関わる「肛門腺(こうもんせん)」についてお話します。

犬の肛門の両脇には「肛門嚢(こうもんのう)」という袋状の器官があります。
この中にはイタチやスカンクのように強い臭いを放つ分泌物が貯まり、犬同士のコミュニケーションや縄張りを主張する為のマーキングの役割があると言われています。 分泌物は通常排便時に便と同時に排出されますが、驚いたり恐怖を感じたりした時にも排出される事があります。

この分泌物や肛門嚢自体のことを通称「肛門腺」といいます。

 

肛門腺はもともと自力で排出できない場合や、加齢などにより排出できなくなる場合があります。 大型犬は排便時に肛門腺も同時に排出される場合が多いのですが、小型犬は排出されにくい場合があります。 これは肛門周辺の筋力の違いによるものであるとも言われており、慢性的に下痢をしている犬や、肥満の犬も便と同時に肛門腺が排出されにくくなる可能性が高くなります。

溜まった肛門腺を人の手で絞り出し排出させることを「肛門腺絞り」といいます。

 

分泌物は茶色くドロッとしていたり、白っぽくねっとりしていたり、 黄緑色でサラサラしていたり色や固さは個体により差があります。 溜まりやすさや絞りやすさにも個体差があります。

 

〇犬のおしり歩きとは

 おしりを床に擦り付けてスリスリ歩く様子のことをおしり歩きと言います。犬はおしりに違和感を覚えこういった行動を取っています。つまり犬にストレスがかかっているのです。おしり歩きが続くようであれば何らかの病気を疑い、治療が必要になる可能性があります。

 

〇おしり歩きの原因

・かゆみ

 肛門や肛門嚢がかゆいと、おしりを引き摺って歩いたりするようになります。
肛門周りの毛をバリカンで刈ると皮膚を刺激してしまうため特に多いのがトリミング後になります。

 

・違和感

 肛門や肛門嚢に違和感がある場合もおしり歩きするようになります。

トリミング後におしり歩きする原因として、肛門腺絞りがあります。肛門腺絞りをすると少し刺激になり違和感を覚えおしり歩きすることがあります。逆に長い間肛門腺絞りをしないと、肛門嚢に分泌物が溜まってしまい違和感をもつこともあります。

 

〇考えられる病気

▷肛門嚢炎

違和感や痛みを感じることがあります。肛門嚢炎は肛門嚢に細菌が感染して起こり、肛門腺の分泌物が茶色や黒から黄色や緑色になる事があります。

加齢や体調、代謝の変化などにより分泌物が出せなかったり、自分で分泌物を出せず溜まりすぎてしまう事で、肛門嚢炎になるリスクが高くなります。

治療は細菌感染に対して抗菌薬を使用、肛門腺絞りを行い、肛門嚢を洗浄します。

〈症状〉

・肛門腺絞りを異常に嫌がる
・いつもは出ていたのに分泌物が出せなくなった
・分泌物の色が変わった

 

▷肛門嚢破裂(肛門腺破裂)

 肛門嚢に分泌物が溜まりすぎて、袋が破裂してしまうことです。痛みが強いため犬にとっては大きなストレスになります。

犬のおしりから血が出ている、おしりの横に穴が開いたと来院される方が多いようです。

治療は、破裂した部分を洗浄して、外用薬、また内服薬を併用することがあります。

〈症状〉

・出血している

 

▷皮膚炎

痒みや違和感の原因に、おしりの皮膚の炎症があります。おしりの皮膚炎はトリミングでバリカンをかけた刺激や、下痢が続いた時、オムツをこまめに交換していないなどの状況で見られます。またアレルギー性皮膚炎や脂漏症などの症状として、おしり周りに痒みが出たり、赤くなったりすることがあります。炎症が重度になると痛みを感じ、触ろうとすると怒るようになってしまうかもしれません。

治療としては外用薬を塗ったり内服薬を飲ませたりします。

〈症状〉

・うんちをする時に痛がる
・おしりを触ろうとすると怒る
・出血している

 

 肛門周囲の通気が悪く、常に便など汚物の付着により湿潤した非衛生的な状態にあると皮膚炎がおこり、それが悪化すると化膿して皮膚に穴が開きます。この穴を瘻孔(ろうこう)といいます。進行すると穴が増えたり広がったりし、やがて皮下組織などの深部にまで及ぶようになります。

 

▷瓜実条虫の寄生

 ノミの体内にいる寄生虫です。犬がノミを飲み込んでしまい寄生されてしまいます。瓜実条虫は片節というかけらが連なった形状をしており、その片節がちぎれて、おしりから出てくる時に強いかゆみ起こします。

治療は駆虫薬を飲むことで瓜実条虫を駆虫できます。またノミの寄生が原因であるため、同時にノミの予防も行う必要があります。

〈症状〉

・肛門から白いひも状のものが出ている
・便に白いものが混じっている
・下痢が続いている
・食欲が低下している
・肛門周辺を頻繁に舐める

 

上記のものは自然に治る可能性が低いため病院を受診した方が良いでしょう。

ただ、肛門腺絞りをした直後、頻繁におしり歩きをしていない場合は問題ありません。

これによって炎症が起きてしまったり、症状が続いていたり、おしりが赤くなっていたりするようなら受診した方が良いでしょう。

 

〇対処法

汚れがついている場合はキレイに洗ってあげましょう。

しばらく、肛門腺絞りをしていない場合はやってみておしり歩きがなくなるかを確認してください。おしりに赤みがあったり、おしり歩き以外の症状があったら病院を受診してください。

 

〇予防

おしり周りを常に清潔に保つようにしましょう。肛門腺絞りを定期的に行う事も大事です。2週間から1ヶ月に1回程度が目安になりますが、年齢と共に溜まるスピードが変わることがあるので、間隔を調節します。

 

〇肛門腺絞りのやり方

準備:分泌物には強烈な匂いがあり、排出時には周囲に飛び散る場合があります。肛門腺絞りを行う場所としてはすぐに洗い流せるお風呂場などが良いでしょう。

もしくは、肛門周辺にティッシュなどを被せて飛び散るのを抑えるなどの対処をしましょう。

 

1:しっぽを持ち上げる

準備ができたら、まず片手で犬のしっぽの付け根を掴み、肛門の形が縦に伸びるように真上に持ち上げます。

 

2:肛門周りをほぐす

しっぽを持ち上げたら、親指と人差し指を肛門の4時と8時の位置に置きます。そして肛門より指1本程奥を挟んで軽く揉みます。これにより、分泌物が出やすくなります。

 

3:肛門に向かって絞り上げる

揉んだ後、下から押し上げるように力を入れすぎずゆっくりと2本の指で肛門に向かって絞りあげます。

 

4:おしり周りを綺麗にする

排出ができたらおしり周りをシャワーで流したりウェットティッシュで拭き取るなどしてキレイにしましょう。拭き残しがあると痒くなってしまう場合があります。

 

中にはおしりを触られるのを嫌がる子がいます。その場合は家族などの協力を得て2人で行うと良いでしょう。

おうちでのお手入れが難しい場合は動物病院やペットサロンに相談しましょう。

当店ではトリミング時に肛門腺絞りも実施しております。また、肛門腺絞りのみでもご利用いただけます。価格は税込550円(2022年9月現在)となっております。ぜひ気軽にご利用ください

 

〇まとめ

おしり歩きは見た目の可愛らしさとは反対に犬にとってはストレスを感じているサインです。お家で原因が分からないようであれば早めに動物病院を受診してあげてください。

 最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になればと思います。

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