段々と気温が上がり、暑い夏がすぐそこまでやってきていますねι(´Д`υ)
人間と同じくわんちゃんも危険な熱中症について詳しくお伝えしていこうと思います。
~目次~✏
1.熱中症とは
日射病や熱射病などの総称で、体温調節機能が働かなくなり高体温や脱水になることで生じる全身の疾患です。体温が高い状態が続くと体を作っている蛋白質が変性し、様々な臓器の機能に障害が出ます。また脱水することによって水分や塩分が体の必要なところに届かなくなると、障害がさらに進み、多臓器不全に陥ります。
・原因
①高温多湿環境に放置してしまう
暑い時期にエアコンのついていない室内に置いて出かけたり、自動車内で発症することもあります。暑い時期は車内の温度が非常に高くなり、窓を開けたりしても下がりません。車に残すのは短い時間であっても大変危険です。
②過度な運動
運動をすることで体温が上がり、ほとんど汗をかけないわんちゃんは体温調節がうまくいかず、熱中症を引き起こしやすくなります。気温や湿度が高い時、短時間でも要注意です。
③暑い時間のお散歩
真夏のアスファルトは50℃以上まで熱くなることもあります。わんちゃんは顔が地面に近く、照り返しの熱気をダイレクトに受けてしまう為、熱中症の危険性が高まります。天気が曇りだとしても油断せず、必ず飼い主さん自身の手で地面を触り、わんちゃんが歩いても熱くない温度であることを確認したうえでお散歩をしましょう。
④熱放散能が低下している
わんちゃんは肉球にしか汗腺(エクリン腺)がありません。そのため体に溜まった熱を逃がす為、「パンティング」という行動をします。パンティングは口を開けて舌を出し、ハァハァと早い呼吸をして体内の熱気を吐き出しながら涼しい空気を取り込み、体温を下げようとします。
しかし、犬種の特性や病気、肥満など熱を下げる力が低い場合、危険が高まります。
2.熱中症の症状
<初期症状>
- 元気がない、ぐったりしている
- 食欲不振
- 呼吸が荒い
- 大量のよだれ
- 体が熱い
- うろうろして落ち着きがない など
<中期症状>
- 吐き気、嘔吐
- 下痢
- 目や口の中の粘膜が充血している
- 体が震えている
- 意識がなくなる など
<末期症状>
- 高体温(40℃以上)
- ふらつき
- ぐったりして起き上がれない
- けいれん
- 意識障害
- 血便・血尿
- 吐血
- 排泄のコントロールができなくなる など
3.大変!熱中症になってしまったら?
・応急処置方法
応急処置のポイントは「日陰」「水か氷」「風」の3つです。日陰でわんちゃんの体に水をかけるか、太い血管のある部分に氷をあて、さらに濡れた体に風を送ることで体を冷やします。
①わんちゃんを日陰で涼しく、換気のよい場所に移動させる
②水を飲ませる(飲まない場合は、無理に飲ませない)
③体温を測り、わんちゃんの体に水をかけて風をあてるか、氷と水をビニール袋に入れて作った氷のうや保冷剤を頭と首筋、のど、脇の下、お腹、内ももにあてる(冷やす場所はわんちゃんの太い血管がある場所、ただし冷やしすぎないように注意する)
自宅で応急処置を行う場合は、お風呂場や庭の日陰で水のシャワーを体にかけたり、氷のうを体にあてながら、扇風機やエアコン、うちわなどでわんちゃんの体に風を送るとよいでしょう。重症の熱中症は、脳が腫れて脳障害を引き起こすことがあるので、症状が重い場合は、脳のダメージを抑えるために氷のうを頭にもあてます。
散歩中などの外出時の場合は、水道が近くにない、氷が手に入らないなど、対処が難しいかもしれませんが、アスファルトなど地面が熱い場所を避けた涼しい日陰で犬を寝かせて、あれば水を含ませたタオルを犬に巻き、水をかけながら、風を送る方法が効果的です。
《冷やしすぎにも注意!》
わんちゃんの直腸温が39.4~39.7℃に達したらひとまず冷却治療をストップします。平熱(38℃台)になるまで体温を下げると、その後も体温が下がり続け、体の冷えすぎが起こります。体が冷えすぎると、冷えた体を温めようと血管の収縮や「シバリング」と呼ばれる体の震えが起こります。これでは逆効果になってしまうので、水や氷を使う場合は注意しましょう。また病院に到着したとき、体を冷やしすぎて37.7℃以下にまで低下してしまった場合は逆に死亡率が高まってしまいます。
・応急処置が終わったら病院に行くべき?
熱中症は、できるだけ早く治療を行うことが重要なので、応急処置が済んだら自己判断はせず、すぐに動物病院に連絡、受診をしましょう。病院に連れて行く際には体を冷やしながら移動しましょう。
4.熱中症は予防が大事!
・わんちゃんが過ごしやすい温度・湿度
長毛種、短毛種により室内の適温は若干異なってきますが、犬が快適に過ごすことができる室温は大体25度前後であると考えられています。湿度は50%~60%に保てるとよいでしょう。ただし、同じ温度であっても、湿度によって体感温度は異なります。わんちゃんの様子をよくみて調整をしましょう。
・外出時に注意すること
1番に、水分補給はとても重要です。ただお出かけ先だとわんちゃんのテンションも高くなってしまい、お水を飲んでくれない時にはわんちゃんが好きなゼリーなどを凍らせて用意しておくと、ちょっと味があるだけでも飲んでくれるようになります。お水にこだわらず、飲んでくれるものを持参しましょう。また、着せるお洋服も接触冷感や保冷剤が入れられるものなど、夏仕様に変えるのをおすすめします。近頃のわんちゃん用のお洋服は吸水速乾など、優れたものが多く、冷却効果も期待できます。わんちゃん用の保冷剤を入れて使うクヌートなども便利です。
<お散歩編>
お散歩の時間帯は早朝がおすすめです。夜の間に地面の熱も解消され、気温も上がりきっていない時間帯であるため、わんちゃんも飼い主さんも快適に散歩が楽しめます。早朝が難しいのであれば完全に地面の熱が下がった夜になってからお散歩へ行きましょう。日差しの関係で長時間の散歩ができない場合は、早朝と夜の2回に分けて行うこともおすすめです。
どの時間帯も必ず飼い主さんが素手で地面を触り、地面の熱が下がっていることを確認しましょう。昼間よりも気温が下がっているとはいえ、真夏は夜間も蒸し暑いため、夜間であっても熱中症に気を付けましょう。
<お出掛け編>
お出掛けをする際に自動車を使う場合、わんちゃんを乗せる位置に気を付けましょう。直射日光が当たる場所を避け、わんちゃんにエアコンの風が届くようにしましょう。後部座席やカーゴスペース(荷室)はエアコンの風も届きにくく、運転席にいる飼い主さんから死角になることもあるため、乗せる場合にはこまめにわんちゃんの様子を確認して下さい。
クレートを使用する場合、中にエアコンの冷気が届きにくく熱がこもりやすいので保冷剤や凍らせたペットボトルをタオルに巻いていれるなどすると良いでしょう。
・熱中症予防グッズ!
①わんちゃん用スポーツドリンク、ゼリー
わんちゃん用のスポーツドリンクはほんのりと甘く、お水よりも飲みやすい為、お水を飲んでくれない時に役立つグッズです。水分だけでなく電解質も補給出来ます。ただ、糖分が含まれており高カロリーなので飲ませる際は量や頻度に気を付けましょう。
②持ち歩き用ボトル
ボトルと一緒に飲み皿も付いているわんちゃんの水筒です。
おしゃれなデザインや様々な機能がついているものがたくさんあるのでお気に入りの1つを見つけてみてください🎶
③冷感ウェア
洋服を濡らすタイプと濡らさないタイプがありますが、こちらは濡らすタイプ。
洋服が冷たくなくなっても振ると瞬間冷却される優れものです。UVカットもしてくれる種類もあります。デザインなどが色々あるのでぜひ暑さ対策をしながらオシャレも楽しんでください💕
④わんちゃん用クールバンダナ
バンダナにわんちゃん専用の保冷剤を入れるタイプのものです。
保冷剤は氷と違って暑い場所でもすぐに溶けてしまうことがなく、冷たい状態をしばらく保ってくれるので、暑い中でも体温の上昇を防いでくれます。
種類によっては食べても大丈夫な保冷剤付きもありますが、誤飲・誤食に十分注意しましょう。
⑤接触冷感ベッド
ひんやりするベッドやマットにはアルミタイプやジェルタイプ、接触冷感タイプや大理石タイプなど、様々な種類があり、素材によって冷え方や使い心地が違ってきます。
レーヨンやキュプラなどの化学繊維を使ったひんやりベッドは、軽くて持ち運びがしやすく、簡単に丸洗いできるのが魅力です。また、デザインも豊富で、見た目もかわいいひんやりマットがほしい方におすすめです。
⑥ひんやりジェルマット
柔らかい素材なので床やソファなど、置き場所を選ばず、わんちゃんの好きな場所に置いてあげられるので便利です。部屋が冷えているほど冷たさが持続しやすいので、エアコンの効いた部屋においておくと猛暑日でもしっかりクールダウン出来ます。逆に、室温が高い部屋では冷たさを得にくいので、外やキャリーでの使用には不向きです。また、生地が破れると中身が出て誤食してしまう恐れがあるので、噛み癖のあるわんちゃんは注意です。
・外飼いのわんちゃんは?
近くにいても常にわんちゃんの状態をみることはできず、体調の変化に気が付きにくくなるので、飲み水の交換を兼ねて2〜3時間に一度は様子をみるようにしましょう。
- 犬小屋を日陰のある涼しい場所に移動させる
- 庭に日陰がない場合は、簾やタープなどで日陰を作る
- 犬小屋の通気性をよくする(窓や穴をつける)
- 土や草などの上に犬小屋を設置
- 犬小屋の周辺に打ち水をする
など、対策を行いましょう。あまりにも暑い日は無理をさせず室内に入れてあげましょう。
5.熱中症になりやすい犬種
①短頭種
短頭種は、鼻が短く口腔の面積が狭いという特徴を持っています。わんちゃんは呼吸をすることで熱を体外に逃がしますが、鼻が短い鼻ペチャのわんちゃんは鼻腔が狭く、喉や気管の構造が他の犬種より複雑で、通常時でも呼吸が上手にできません。そのため、夏場は体内の熱をうまく逃がすことがでないので注意が必要です。犬種としては、パグ、ボストン・テリア、ブルドッグなどが代表的です。
②短足犬
足の短い犬種は、地面が太陽の熱を反射する「輻射熱」の影響を受けやすくなってしまいます。輻射熱は地表に近いほど熱くなっており、その熱で熱中症になりやすくなってしまいます。犬種としては、ダックスフンド、コーギー、バセット・ハウンドなどです。
③寒い地方原産の犬種
北国生まれの犬種は、寒さには強いですが暑さは苦手。もともと北の寒さに耐えるためにモフモフした毛皮であることが多く、日本の夏は順応できずぐったりしてしまうことがあります。犬種としては、シベリアン・ハスキー、ボルゾイ、グレート・ピレニーズなどが代表的です。
④厚い被毛に覆われている犬種
厚い被毛に覆われている犬種は、毛の間にこもった熱を逃がしにくくなっています。そのため、暑くなると上手に体温調整ができなくなってしまいます。犬種としては、柴犬やポメラニアンなどです。
⑤ダブルコートの犬種
毛が二重構造になっている犬種のことを「ダブルコート」と言います。体の表面を覆っているのが「上毛(オーバーコート)」その下に生えているのが「下毛(アンダーコート)」です。ダブルコートの犬種も体毛のせいで熱を逃しにくい体になっています。犬種としては、ゴールデン・レトリバーやアメリカン・コッカー・スパニエル、シェットランド・シープドッグなどが代表的です。
6.さいごに
熱中症は予防がとても重要です。正しい知識を身に付け、今一度環境を見直し、大切な家族を守りましょう!
わんちゃんだけでなく、飼い主様自身も十分に注意し、わんちゃんと楽しい夏をお過ごし下さい🌟